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リバーブはセンドとインサートどちらで使う?違いと使い分け
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「ボーカルにもシンセにもリバーブをかけたら、ミックスがもやもやした」「リバーブを何個も立ち上げたら、パソコンが重くなった」。こうした悩みの手前にあるのが、リバーブを「センド」で使うか「インサート」で使うかという選び方です。
インサートは、トラックの中にエフェクトを直接挿す方法です。センドは、トラックから音の一部を別の通り道(リターントラック、Aux などと呼ばれます)に送り、そこにエフェクトを置く方法です。この記事では、Sound On Sound(以下 SOS)、iZotope、Ableton の資料で確認できる内容をもとに、使い分けの考え方を紹介します。
まず結論:リバーブはセンドが定番、インサートは例外
SOS の Q&A では、リバーブはインサートでも構わないが、「センドで使うほうがずっと一般的で、それには理由がある」と書かれています。もともとハードウェアの時代から、リバーブはセンドで使われることが多かったそうです。
ただし、これは「インサートが間違い」という意味ではありません。目的によって向き不向きがあります。
センドが向く3つの理由(SOS)
SOS はセンドの利点を、次の3つにまとめています。
- 量の調整が楽:1つの音だけなら、そのトラックのセンド量で調整できる。全体の響きの量を変えたいときは、リターン側のフェーダーで一度に変えられる
- 使いたいときにすぐ使える:お気に入りのリバーブをセンド先に置いておけば、どのトラックからも配線し直さずに使える
- まとまりが出る:1つのリバーブを共有すると、いくつもの音が同じ空間にいるように聞こえる
ほかにも:パソコンへの負担と、リバーブだけの加工
- パソコンの負担:iZotope の記事は、プラグインは処理能力を使い、特にリバーブは重いと書いている。複数の音を1つのリバーブに送るほうが、リバーブを何個も立ち上げるより軽くなる
- リバーブだけを加工できる:SOS によると、音とリバーブを分けておけば、リバーブの音だけにフィルターなどをかけてから元の音に混ぜられる。iZotope も、リバーブをEQで整えたり、歪ませたり、圧縮したりできるとしている
- 複数トラックで共有できる:Ableton のマニュアルでは、リターントラックにディレイを置くと、いくつものトラックの音をまとめてエコーにできる(トラックに直接挿したディレイは、そのトラックだけ)と説明されている
インサートが向く場面
一方で、次のような場面ではインサートのほうが自然です。
- その音の個性そのものになるリバーブ:iZotope は、ギターの音色を決めるスプリングリバーブのように、音の核になるものはインサートで、ウェット/ドライ(響きと元の音の割合)のつまみで調整するほうが向くとしている
- 短い響きで音を厚くしたいとき:SOS は、短いアンビエンスで細い音を太くする使い方は、インサートでもセンドでもよいとしている
- エフェクトの順番が大事なとき:iZotope によると、そのトラックでさらに後ろに別の加工をつなぎたいなら、インサートにする。センドにすると並び順が変わってしまう
Ableton Live でセンドを使う手順(マニュアルより)
Ableton のマニュアルで確認できる内容をもとにした、リターントラックの使い方です。ほかの DAW でも名前は違っても考え方は同じなので、お使いの DAW のマニュアルで対応する項目を探してみてください。
- 1. 「リターントラック」を用意する。マニュアルでは、メニューの Create から Insert Return Track で追加できるとされている
- 2. リターントラックにリバーブを置く
- 3. 各トラックのセンドのつまみを上げて、そのトラックの音をリターンに送る。つまみの大きさが「そのトラックからどれだけ送るか」になる
- 4. リターントラックには、センドを「Pre」「Post」のどちらにするかの切り替えがある。Post はそのトラックのパン・音量の調整のあとの音を送り、Pre は調整の前の音を送る(マニュアルの説明)
つまずきやすい点と対処
- 「リバーブをトラックにも挿し、センドにも送ってしまった」:どこで響きが足されているか分からなくなりやすい。まず片方にそろえて音を確かめる
- 「センドを上げても響きが変わらない」:リターントラックのフェーダーが下がっていないか、リターンにリバーブが入っているかを確認する。Ableton では、リターントラック自身のセンドは初期設定でオフになっている
- 「リバーブを足すとミックスが濁る」:SOS が示すとおり、リバーブだけを加工できるのがセンドの強み。リターンにEQを入れて、必要なところだけ調整する。具体的な設定はお使いのプラグインで耳と目で確かめる
- 「センドの量が音ごとに違う」:量は音ごとに変えてよい。つまみは「そのトラックからどれだけ送るか」なので、音ごとに送る量を決められる
ほかの記事もあわせて
無料のリバーブ・ディレイを探している場合は「無料リバーブ・ディレイ Valhalla Supermassive の使い方」(/guide/free-reverb-delay-supermassive)が参考になります。音量を整えてから響きを足したいときは「ゲインステージング入門:音量のそろえ方」(/guide/gain-staging-basics)、EQで整えたいときは「無料EQ・コンプ TDR Nova と Kotelnikov」(/guide/free-eq-compressor-tdr-nova-kotelnikov)です。エフェクト系のプラグインは「エフェクト・ミックス」カテゴリ(/category/effects)、無料配布は「無料配布」カテゴリ(/category/free)で探せます。
よくある質問
- Q. リバーブは必ずセンドで使わないといけませんか? A. いいえ。SOS もインサートで使うことを認めています。ただし、複数の音を同じ空間に置きたいときやパソコンの負担を抑えたいときは、センドが選ばれることが多いです。
- Q. EQやコンプもセンドで使いますか? A. SOS によると、EQやコンプ、ゲートなどは通常インサートです。コンプをセンドで使う主な理由はパラレルコンプレッション(元の音と圧縮した音を混ぜる方法)です。
運営者のひとこと
私の Mac には Logic Pro と FL Studio、それに無料のリバーブ Valhalla Supermassive や VintageVerb が入っています。長い残響が好きなので、私ならまず1つのリバーブを複数のトラックで共有する形から試して、特定の音だけ別の響きにしたいときにインサートを足す順番をおすすめします。
— ともえ(DTM PICKS 運営者)
参考