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「キックとベースを重ねたら、低音がこもって何を鳴らしているのか分からなくなった」。4つ打ちのダンスミュージックを作り始めると、ほとんどの人がここでつまずきます。この悩みへの定番の答えが「サイドチェイン」です。
サイドチェインは、ある音(たとえばキック)を合図にして、別の音(たとえばベース)の音量を自動で下げるしくみです。この記事では、Ableton Live のマニュアルと Logic Pro のユーザガイドで確認できる内容をもとに、考え方と設定の手順をまとめます。特定の製品の音の良し悪しではなく、どのDAW(制作ソフト)にも通じる考え方が中心です。
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キックとベースはどちらも低い音の帯域を使います。同じ瞬間に同じ帯域で大きな音が2つ鳴ると、音がぶつかり合って、どちらも輪郭がぼやけます。Ableton のマニュアルでも、サイドチェインは「ベースライン(またはミックス全体)にキックドラムを加えるスペースを確保できる」ためにダンスミュージックの制作者がよく使う手法と紹介されています。
つまり、キックが鳴る一瞬だけベースを引っ込めて、キックの居場所を空けるイメージです。
コンプレッサー(大きい音を自動で抑えるエフェクト)は、ふつう「抑えられる音」自身の大きさを見て動きます。Ableton のマニュアルによると、サイドチェインを使うと、別の信号の音量をきっかけにコンプレッサーを動かせます。
Ableton では、サイドチェインの音は「コンプレッサーをトリガーするだけで、実際には聞こえません」と説明されています。たとえばキックの音をサイドチェインに入れても、キックがベースのトラックに混ざって聞こえるわけではありません。
このように音量を自動で下げる使い方は「ダッキング」と呼ばれ、マニュアルでは、ナレーションが入るときだけBGMを下げる例も紹介されています。
Ableton のマニュアルで案内されている流れを、初心者向けにまとめます。
Logic Pro のユーザガイドによると、Compressor の「Side Chain」ボタンを有効にすると、サイドチェインのパラメータが右側に表示されます。
また、外部のサイドチェイン信号を選んでいなくても、サイドチェインのパラメータは有効で、その場合はコンプレッサー自身の入力がサイドチェインの信号として使われる、と説明されています。つまり、キックのトラックを選ぶ前の状態では、ふつうのコンプレッサーとして動きます。
ドラムが1本にまとまったトラックしかないと、ハイハットやスネアにも反応してしまい、ベースが細かく揺れてしまいます。Ableton のマニュアルでは、サイドチェインEQをオンにしてローパスフィルター(高い音を削るフィルター)を選び、Frequency と Q を調整すると、ドラムミックスからキックを分離できると案内されています。
Logic Pro の Compressor にも、サイドチェイン信号に使うフィルターがあります。LP(ローパス)・BP(バンドパス)・HP(ハイパス)・ParEQ・HS から選べ、Frequency と Q で中心の周波数と幅を決めます。ユーザガイドでは、サイドチェイン信号をフィルターすると、きっかけの信号の精度が上がり、圧縮の精度も上がると説明されています。
多くのDAWにはサイドチェイン対応のコンプレッサーが付属しているので、最初は付属のもので試せます。EQやコンプを追加したいときは「無料EQ・コンプ TDR Nova と Kotelnikov」(/guide/free-eq-compressor-tdr-nova-kotelnikov)が参考になります。音量の土台を整えたいときは「ゲインステージング入門:音量のそろえ方」(/guide/gain-staging-basics)を先に読むと、コンプの設定が決めやすくなります。
4つ打ちの曲を作る人は、「ハウス向けの無料プラグイン」(/guide/plugins-for-house)もあわせてどうぞ。ジャンルそのものを聴いてみたい人は、DTM DIGS のハウス/ブロークンビート(https://dtmdigs.com/genres/house/)のページへ。エフェクト系は「エフェクト・ミックス」カテゴリ(/category/effects)、無料配布は「無料配布」カテゴリ(/category/free)で探せます。
私はハウスやテクノ寄りの曲を、Logic Pro と Roland S-1・P-6 で組んでいます。低音がもたつくときは、私ならまず他のエフェクトを足す前に、キックとベースの2つだけを鳴らして、ベースを一瞬だけ引っ込める設定から試す順番をおすすめします。